「人から学ぶってどういうことだろう」。そんな問いかけからカドベヤは、始まりました。もともとは大学に通う学生たちがどうやって社会から学ぶことができるのか・・・そんな試みに応えるために出来上がった場所でした。そう、昨今の大学ではフィールドワークはよく取り入れられるようになりました。質問を考えて、その場所に出かけて行って、人々に聞き取り調査を行う。でも一過性の調査ではなくって、まずはじっくり人と会って付き合える場所をつくりたい。ただ人と一緒に時間を過ごすことで、誰でもが学びあう場所がほしい。こうして2010年4月に「カドベヤ」がオープンしました。横浜市の中区と南区の間。川を渡れば、日本の高度成長を支えてきた日雇い労働者の町、寿地区。そんな街のかどっこの「カドベヤ」です。
できた後の次の課題は「どうやって人とじっくりと付き合えるのか」。行きついた先は、言葉がなくてもまずは共に過ごせる時間を持つこと、でした。こうして「ともに体を動かすこと」、「ともに何かを作り上げること」「ともに食べること」を中心にして毎週火曜日にカドベヤで過ごす「居場所」づくりが始まりました。
そして毎週いろいろな人がカドベヤの扉をあけてくれます。子供も学生も、近所の人も、横浜で働く人もみんながここでは居場所の作り手です。
こうして行き着いた今のカドベヤの目標は、二つ。「毎週何があってもこの場所を開けること」。そして「なにがあっても一緒に何かを行って、一緒に食べること」。あとは、集まる人がこの場所を作ってくれる。黙っていてもいろいろな問題が語りあわれ、その中から一緒に解決策も見つかっていく。それぞれの立場にかかわらず互いに教えあい、学びあう。そして、気がつかないうちにその関係がカドベヤの外にまで広がっていく。そんな小さな、でも大きな動きがここに参加することで自然に出来上がっていく。それがカドベヤの長い長い先に待つ目的なようです。「なようです」というのは、ここからどんなすごいことが起こっていくのかはまだまだわからないから。この場所でことが解決しなくても、この場所で出来上がった関係がなにかコトを起こしていく。そんな場所にカドベヤがなりますように。私たちにとっての「居場所」。家、友達、恋人、職場、学校、クラブ活動、アルバイト先、習い事・・・・。そんなたくさんの皆さんの居場所の中に火曜日の「カドベヤ」が入りますように。皆さんがコトを起こす主人公となり、誰かの未来となりますように。そんな思いをのせて居場所「カドベヤ」の扉が火曜日が来るたびに、また、開きます。

 

【これまでの活動】

カドベヤの中で生まれて外に出かけて行ったもの、外で生まれてカドベヤにやってきたもの。
ここではそんなカドベヤの小さな歴史を振り返ってみます。

[2009年]

5月
文部科学省 大学教育・学生支援推進事業【テーマA】大学教育推進プログラム「身体知教育を通して行う教養言語力育成」事業の一環として、慶應義塾大学教養研究センターがコトラボ合同会社と協力して、寿地区での社会連携活動を開始する。活動拠点としてのオルタナティブ・スペースを作ることが決定される。

10月 
社会連携活動にNPO法人「さなぎ達」の協力を得ることが決定。

12月
活動拠点として石川町5丁目の民家の一階が決定。入居。

[2010年]

1月~3月
居場所開設のために、慶應義塾大学で「コミュニティを創る・コミュニティを考える」という名前でワークショップを数回開催。釜ヶ崎のNPO法人「ココルーム」代表の上田假奈代氏、NPO法人「さなぎ達」理事長の山中修氏と川崎泉子氏をお招きして、場づくりの先行例のお話を行う。

4月
石川町5丁目に民家の一階を改造して、オルタナティブ・スペースを開設。改築に関しては、アーティストや学生他大学の教職員、寿地区のおじさん方の協力を得る。ちょうど横浜市中区と南区の間にあること、道の角にあることから「カドベヤ」と名称を決める。

6月
毎週火曜日にカドベヤ「動く教室」を開始。「踊り」(体を動かすこと)と共に食べることでつながる居場所づくりを目指す。ワークショップの案内人として、コンテンポラリーダンサーの黒沢美香氏、木檜朱実氏、地唄舞の踊り手の花崎杜季女氏、花崎三千花氏、そしてコミュニティダンスの研究家、稲田奈緒美氏を中心としたアーティスト、および研究者を迎え、ワークショップの案内人を務めていただく。

[2011年]

2月
カドベヤの案内人たちの代表者が北海道の「べてるの家」を訪問。様々な障がいを持つ方々の自立の在り方を学ぶ。同時に神戸の新長田でダンスによる町づくりをめざすNPOダンスボックスを黒沢美香、横山千晶が訪問。ワークショップの現場を拝見する。

3月11日
東日本大震災が発生。

3月18日~20日
カドベヤ参加者、案内人の間で創造的な力を使って何ができるのかを考えるため、全国アートNPOフォーラム「トットリデハッタリ」(3月18~20日)にカドベヤの案内人(稲田奈緒美、木檜朱実、黒沢美香、花崎三千花、横山千晶)が参加。フォーラムでは震災という状況の中でのアートの可能性について意見交換を行う。持ち帰った知見は、早速居場所「カドベヤ」でも活かされた。震災で家族や親戚を失った参加者を皆で見守る。

3月25日
「コミュニティダンスの社会的・芸術的可能性~ソケリッサ!の試み、カドベヤの試み」カドベヤでのワークショップを通じて見出された、アートとことばが多様な人々に及ぼす直接的、間接的、相互作用的な影響や効果を振り返るために、ホームレスによるダンスグループ「新人H ソケリッサ!」の主宰者・振付家(アオキ裕キ氏)とダンサーをおよびして、ディスカッションミーティングを開催。ソケリッサ!とカドベヤのメンバーによる、ダンスのデモンストレーションも行った(「アーカイブ」を参照のこと)。

4月
毎週火曜日に加え、土曜日にも月1~2回の割合で「動く教室」を開催。ブログを開設。

5月11日
ダンス・ライブ「先ず獣身を成して後に人心を養う」開催。
慶應義塾大学新入生歓迎行事として日吉キャンパス来往舎イベントテラスで開催。総監督を「動く教室」の案内人である黒沢美香氏が務めた。黒沢美香&ダンサーズのダンスに加え、カドベヤの「動く教室」参加者たちにオリジナル・ダンス「愛と戦いのんだんだレゲエ」のダンスが披露され、会場を巻き込んで熱気あふれるダンス・ライブとなった。

[2012年]

3月18日
慶應義塾大学教養研究センターと地唄舞普及協会の共催で「みちのく伝統文化伝統芸能支援公演「土海森命」を慶應義塾大学三田キャンパスで開催。カドベヤの参加者たちも参加し、青山小学校の生徒たちと「地唄舞版 んだんだレゲエ」を踊る。
同日未明にカドベヤに毎週遊びに来てくれていた大谷亜希ちゃんが逝ってしまう。32歳だった。

3月31日
「身体知を通して行う教養言語力育成」事業が終了。

4月
今まで「動く教室」を支えてきたメンバーたちによって「カドベヤ・オープン DAY 居場所『カドベヤ』」運営委員会を発足。モットーは「カドベヤ・オープンDAY―つどおう・かたろう・ことを起こそう」。運営は火曜日のみとなる。また、今まで身体表現を中心に行ってきた「動く教室」は、さらに広く、様々な創造的な表現のワークショップとして開催することになる。また今までアーティスト主体だった案内人の中に運営委員会のメンバーも積極的に「案内人」として加わることで、案内人の頭の中にある表現活動を参加者全員で見出していくという参加型のワークショップを目指す。

5月
横浜アートサイト2012の採択事業となる。

6月
「動く教室」開設から2周年。火曜日を「カドベヤ・オープン DAY」として午後1時から「足湯カフェ」を開設することにする。午後7時からの「動く教室」は「ストレッチと夕めし」と名を変える。昼の担当は運営委員の金澤礼子さん、小室啓二さん、そして横山千晶。この夏から子供たちも参加するようになる。

11月4日
カドベヤ・オープンDAYの開設を助けてくれた地元の金澤礼子さんと小室啓二さんに支援していただき、「カドベヤ祭り」開催。地元の方々にもっとカドベヤを知っていただこうと、カドベヤを開放してのお祭り。金澤さんが腕を振るった健康スープ、焼きそば、そしてフリーマーケットに足湯、と大賑わい。大勢の方々が来てくださった。

[2013年]

3月31日
慶應義塾大学の学生とカドベヤに参加してくれているのんちゃんとが協力して、初のカドベヤでのバイオリン・コンサート「アテフ・ハリム バイオリン・コンサート」を開催。地元の子供たちやお母さんがた、がバイオリンの音色に酔いしれた。

5月
今までの運営委員会の名称を居場所「カドベヤで過ごす火曜日」運営委員会と変更。モットーは「カドベヤ・オープンDAY――つどおう・かたろう・つながろう」。足湯カフェは5時半から開催。「ストレッチと夕めし」を19時から開催。2013年からは、ワークショップを「誰もが主役」のもとに、障がいのあるなしにかかわらず、誰もが案内人となって、参加者全員でワークショップを作り上げる方向へと向かうことにする。

7月
ヨコハマアートサイト2013の採択事業となる。

8月
夏休みこども企画開催。3月に引き続き「アテフ・ハリム バイオリン・コンサート」および、山形県酒田市から鵜渡川原人形伝承の会の本間光枝さん、松浦正子さんを迎えて、庄内の土人形を創る「土人形の夕べ」を開催。

[2014年]

4月
火曜日のカドベヤ開設満4年を前に運営委員会を開催。今後のカドベヤの運営について話し合う。皆で支えるカドベヤ、子供たちを見守るカドベヤを目指すことを確認。

5月
ヨコハマアートサイト2014の採択事業となる。「カドベヤで過ごす火曜日」が事業名。今までの足湯カフェは17時半から。「ストレッチと夕めし」は19時から開催。

6月
満4年を迎え、満5年に向けて、カドベヤが動き出す。5年目に突入の目標は、皆で払った参加費をもとに、誰かの夢を、子供たちの夢をかなえていくこと。そしてカドベヤをカドベヤ自身にとっても、来てくれる人にとってももっと気持ちのよい、風通しのよい、居場所としていくこと。

11月21日
カドベヤのお父さん、大藪勝彦さんが亡くなる。カドベヤの守り神となってくれる(だろうな)。

12月
カドベヤになくてはならない存在だったのんちゃんが天使になる。姿は見えなくなったけれど、やっぱりカドベヤを守ってくれている。ただたくさんの人が今まで頼っていたから、のんちゃんは見守らなくっちゃいけない人が多すぎて大忙しだろうな。

[2015年]

4月
カドベヤの満5周年を6月に迎えるにあたって、あれやこれやの企画をただいま検討中。まずは子供も大人も昼間っから集まれるカドベヤカフェ(仮称)企画をわいわい話し合っています。